米ヤフー、ソーシャルメディアにも注目--ヤフーメディアは人材強化を急ぐ
米ヤフーは、ブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの「ソーシャルメディア」の事業を強化するため、Elizabeth Osder氏を8月1日からソーシャルメディア担当のシニアディレクターとして採用した。ソーシャルメディアは指揮系統ではヤフーニュースの傘下となる。同社は05年3月29日に、ブログとSNSを組み合わせた新サービス「ヤフー360」のベータ版を開始し、この分野に力を入れ始めていた。
Osder氏は、1995年からニューヨークタイムズに4年間在籍、黎明期のネットビジネスを経験し、採用時は南カリフォルニア大学の客員教授を勤めていた。また、94年には、日経メディアラボのサイトでも特集した「EPIC2014」の作者が在籍したポインター研究所でも学び、99年にはオンライン・ニュース・アソシエーション(ONA)を設立、今でもボードメンバーに名を連ねている。ONAはオンライン媒体にニュースを提供しているジャーナリストを主体とした業界団体。
ヤフーメディアのScott Mooreバイスプレジデントは「ソーシャルメディアはブロードバンド、ユーザビリティーと並んで今年の3大重要課題」としており、Osder氏の採用は同社のソーシャルメディアに対する期待の現れとしている。ヤフー360、Flickrなどのユーザー向け情報発信ツールを組み合わせて、ユーザーが良質のコンテンツを発信できる環境を整えることが、Osder氏の最初の課題となる。
ヤフーのコンテンツ部門であるヤフーメディアは4月に組織が発足、シリコンバレーからハリウッドに近いサンタモニカにオフィスを移したばかり。Mooreバイスプレジデントも5月にMSNから移籍した。ヤフーメディアはニュース、ファイナンス、ゲーム、スポーツ、エンタテインメント、ミュージックなどのコンテンツを扱っている。
ヤフーメディアの人材獲得は目を引いており、04年11月には、ABC Entertainmentの会長だったLloyd Braun氏をヤフーメディアの責任者として採用。同月、ダウ・ジョーンズのウォールストリートジャーナル・オンラインの「産み、育ての親」として有名なNeil Budde氏をヤフーニュースのエグゼクティブ・プロデューサーとして東海岸から呼びよせた。05年7月にはCBSでオンラインを担当していたDavid Katz氏も採用している。Katz氏はCBSのウェブサイトCBS.comを人気サイトとしたことが評価され、スポーツとエンタテインメントの責任者となった。
米国ではネット企業の成長に伴い、新聞やテレビなどからの中堅・大物の移籍が相次いでおり、今後も既存メディアの大物人材の引き抜きには注目したいところだ。
<参考>
PaidContent.org: August 01, 2005
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