メディア懇談会「新しいメディアづくりを考える」
日経メディアラボは7月28日、「新しいメディアづくりを考える」と題したメディア懇談会を開いた。企業と生活者をつなぐメディアのあり方をめぐっては、インターネットを起点にした情報発信が企業戦略の軸になるとの見方で一致したものの、企業のブログ(日記風の簡易型サイト)活用については見方が分かれた。生活スタイルや嗜好が近い生活者同士のコミュニティーを形成する効果があるとの指摘があった一方で、広告メディアとして活用するためには情報の信頼性をどう担保するかが課題になるとの意見も出た。
講師を務めた博報堂DYメディアパートナーズの中村博メディア環境研究所長、三越の金沢春康ネットワーク企画部ゼネラルマネジャーが企業の情報発信などに関する問題を提起し、これを受けてブログを含むネットを使った企業のメディア戦略などについて議論した。中村氏は企業と生活者のコミュニケーションが双方向型になり、個人の情報発信量が飛躍的に増大するため、企業に批判的な情報が発信されるケースも増えると指摘。金沢氏は顧客と双方向につながるメディアとしてブログを活用している実例を紹介しながら「ブログでコミュニティーをおこし、百貨店の再成長を仕掛けたい」と語った。
参加者からはブログによる仮想空間のコミュニティーを活用して「仮想」と「現実」の相乗効果を追求すべきだとの意見が出た。金沢氏は「ブログはいろいろなトライアル(試行)の一つ。ネットを起点にして、いかに企業のブランド価値を高めるかが重要だ」と強調した。中村氏は批判的な情報が自社ブログを通じて発信される可能性があるため「ブログが広告メディアになるのは難しい」との見方を示した。
新しいメディアの活用方法に関連して中村氏は携帯電話がカギを握ると強調。従来のマスメディアと携帯電話を連動させるキャンペーン手法などを紹介した。金沢氏は顧客とのコミュニケーションのために店舗を「メディア」として活用できると説明。富裕層を囲い込むための「口コミ」によるマーケティングを本格化させる考えを示した。
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