TBSメディア総研社長ら招き政策フォーラム
慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)、コンテンツ政策研究会、日経メディアラボは27日、TBSメディア総合研究所の前川英樹社長(TBS執行役員)らを招き、「クリエイティブ産業政策フォーラム」を開催した。前川社長は放送のハード(電波放送)とソフト(番組制作)の分離問題について「分離しても優良なコンテンツ(情報の内容)を生み出せないことは目に見えている」と指摘。放送と通信の融合についても慎重な見方を示した。
ハードとソフトの分離問題をめぐり、前川社長=写真=は米国で1995年まで三大ネットワークによる番組の製作・配給を規制していた「フィンシンルール」を引き合いに、日本での議論を「フィンシンルールの亡霊か」と皮肉った。そのうえで「フィンシンルールを適用すれば、コンテンツ産業が活性化するという話ではない」と強調した。
通信と放送の融合については、2つの業界を海流になぞらえた「親潮・黒潮」論という持論を展開。前川社長は「親潮と黒潮が入り混じる海域は優良な漁場になる」と語り、両分野の融合で形成される市場に関心を示したものの、「(通信事業者と放送事業者は)漁法が違うので、別々のほうが互いの船団を自由に操作できる。当面は一緒になれば済むということにはならない」と述べた。
前川社長の講演に続き、経済産業省の境真良氏、総務省の谷脇康彦氏、スタンフォード日本研究センターの中村伊知哉研究所長らが「メディア融合政策のネクストステージ」をテーマにパネルディスカッションをした。「クリエイティブ産業政策フォーラム」は昨年12月に初会合を開き発足し、今回は2回目。コンテンツ(情報の内容)産業に関連した政策の共同研究を推進している。
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