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「地域社会にガッチリ食い込む」――河北新報のSNS「ふらっと」

河北新報社の佐藤和文氏  東北地方でブロック紙を発行する河北新報社(仙台市)のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「ふらっと」が来月、開設1周年を迎える。地域密着型のSNSが全 国各地に登場しているが、新聞社がSNS運営に乗り出す事例はまだ珍しい。河北新報社の佐藤和文メディア局次長兼ネット事業部長=写真=に、新聞社がSNSを運営する狙いやメリット、「ふらっと」の現状などを聞いた。

――「ふらっと」の現状は

 2007年4月17日にオープンし、約3000人が会員登録している。SNSの中で120~130のコミュニティー(会員が自由に設置できるテーマ別の掲示板)が設置され、毎日約30本の「ブログ」(注・外部のブログ開設サービスではなくミクシィ、グリーなどの「日記」にあたる機能)が更新されている。SNS開設当初は1万人を目標に掲げたが、運営してみると、今の規模で十分ではないかという実感もある。

 1000万人を超す人々がミクシィを利用する時代だが(2008年1月末時点のミクシィ会員数は1333万人)、自社でSNSをやってみると「SNSの使い方が分からない」という人が結構多い。「SNSのことはよく知らないが、河北新報が新しいことを始めたから」と、ふらっとに集まってくれた人もいる。当社の運営担当者も「ふらっと」に参加して、一般の会員と一緒にコミュニティーを盛り上げているところだ。

「ふらっと」のトップページ  公募で選んだ一般の人に自分が住んでいる街のことを書いてもらう「街角ブロガー」(2008年3月5日時点で12人が執筆中)や、SNS内のブログと外部のサイトで書かれたブログのなかから面白いものを選んで紹介する「ブログ交差点」(同3月6日時点で164ブログ)などの企画を展開している。世間には新聞記者よりも専門分野に詳しい人がたくさんいる。その人たちの情報発信を支援することも、新聞社の仕事の一つになっていくのではないかと思っている。

――SNSを始めた狙いは

 (新聞離れが叫ばれるなかで)地方紙が生きていくためには、地域の人々とフェース・トゥ・フェースの関係を築き、地域社会にガッチリと食い込んでいくシナリオをつくっていくことが必要だ。

 まだ紙の新聞の編集局はネット活用に消極的だが、今後、紙面づくりにネットを活用したくなったときに使える環境を整えておきたい。ふらっとの会員でない人もSNSの中のコンテンツを見られるオープン型のSNSにしたのは、そのためでもある。今後は編集局と共同で、時事ニュースについて議論できるようなコミュニティーをつくりたい。

――新聞社がSNSを運営するメリットは

 ふらっと開設前は、いろいろな人から「(利用者が自由に投稿できる)SNSで、投稿が荒れたらどうするんだ」と言われたが、実際には荒れる事態は起きていない。「新聞社が運営しているSNS」というステータスが安全装置として働いているのではないだろうか。

 積極的に地元を盛り上げようと考えている人たちとのつながりを作りやすいのも、新聞社が運営する利点の一つだ。例えば、宮城の日本酒をPRしようという人がSNSのコミュニティーに集まっている。

 新聞社の運営ということで、地元自治体との連携も生まれている。2007年10月から、仙台市がごみ減量のPRに、ふらっとのブログ機能を活用している(「セツコさんのワケル塾」)。自治体にとっても、新たな予算を使わずに済む利点がある。

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